2.求め合う心

「それでは早速」

「待って……」

 月子をベッドに寝かせ、舌なめずりをした陽子に月子は肩で息をしながら言った。

「……やっぱり駄目、だよね。いきなり現れて、それも双子の姉にやらせろって言われてはいそうですかって言うわけないよね。ごめん、さっきの事は聞かなかったことにして」

 陽子は悲しそうに笑った。陽子の落胆を表すように、尻尾も耳も力なくペタンと垂れていた。ガックリと肩を落とし、陽子はベッドから離れようとした。

 しかし、それは叶わなかった。月子が陽子を抱きしめたからだ。突然の事に陽子はバランスを崩し、月子の上に倒れこんだ。
「きゃっ……月子?」

「相変わらず陽子は人の話を最後まで聞かないんだから。誰も駄目だなんて言ってないでしょ。その前にちょっと確認しておきたくて」

 驚いて目をパチパチさせている陽子を見て、月子はくすくすと笑った。そして、陽子をさらに強く抱きしめた。

「小さい頃はこうやって一緒のふとんで寝てったっけね。陽子ったら寝相が悪くて、いつもふとんを独り占めして。そのせいで何度風邪をひきかけたか」

「もう、そんな昔の話をいまさら……月子?」

 いつの間にか月子の目からは涙が溢れていた。それを拭うこともせず、陽子を抱きしめたまま、月子は陽子を見つめ、言った。

「夢じゃないよね、明日目が覚めても、陽子は居てくれるんだよね。ずっとずっと一緒なんだよね。約束してくれる? もう何処にも行かないって。これからはずっと一緒だって」

「うん……約束する。何があっても、私は何処にも行かない。月子の側にずっといてあげる」

 そう言って、陽子は月子の涙を舌で舐め取った。

「ありがとう。……いいよ、陽子、私を好きなようにして。この体は私だけのものじゃなく、あなたのものでもあるんだから」

 月子は陽子の唇に自分の唇を合わせた。相手を慈しむ優しいキス。二人は無言で互いの唇の感触を確かめ合った。体を重ね合わせた事で自然に乳首同士が触れ、擦れ合い、存在を主張するかのように形を変えていった。

「ふぅん」

 どちらのものともつかない吐息が唇の隙間からこぼれた。いつしか二人は舌を絡ませ、唾液を飲ませ合い、舌を相手の口の中に突き入れようとした。主導権争いに夢中になってお互いむきになっているせいか、陽子の耳はピンと立ち、尻尾も上を向き毛が逆立っていた。しかも互いに目を見開いて相手を睨み付けていた。子供の喧嘩のような、キスとは言い難い領土争いは二人の息が続かなくなったことで終わりを告げた。

「ちょっと、私の好きなようにさせてくれるんじゃなかったの」

 陽子は抗議の声を上げた。

「この体は私達二人のものなのよ。だから私にもあなたを好きなようにする権利があるのは当たり前でしょう。ふふふ」

「……ほんとに月子って負けず嫌いというか何というか……あはは」

 しばらく二人はくすくすと笑った。喧嘩した後の仲直りの時のように。お互いが変わっていない事を確かめるように。会えなかった時間を埋め合わせるように。

「今度こそ、いいよね」

「うん。来て、陽子」

「それじゃあ、まずは搾乳といきますかな」

 そう言って、陽子は月子のすでに固く勃起している乳首に吸い付いた。さらに手で胸全体をマッサージするように揉み解していった。

「はぁん、さ、搾乳って……あっ、で、出るわけ……ないじゃないぃっ」

「分かんないわよ〜、何事もやってみるだけやってみないと。うりゃうりゃ」

「いやぁっ、よ、陽子……お、お願いだから、は、歯を立てないで……ひゃんっ」

「じゃあ、これはどう」

「やぁっ! つ、爪もやめてぇっ」

「ふふっ、いやよいやよも好きのうちってね。おっしゃあ!! 搾乳ラストスパート」

「そ、そんなぁっ、りょ、両方だなんて……あぁぁぁぁぁぁっっ」

 両方の乳首に爪と歯を立てられ、月子は全身を痙攣させて、そのまま意識を失った。同時に秘部からは大量の愛液が噴き出した。

「ほら、ちゃんと出たでしょう。出るところは違ったみたいだけど……ありゃりゃ、気を失っちゃったみたいね」

 うっすらと笑みを浮かべたまま気を失った月子を見て、陽子は耳の先をポリポリと掻いた。

「経験のない月子にはちょっとハードだったかな。まぁ、まだまだこれから時間はたっぷりあるわけだし、ぼちぼちやればいっか。……それにしても、気持ちよさそうに寝てるなぁ。起こすのは気が引けるけど、でもこのままじゃ風邪引いちゃうし……とりあえずタオルとってこよ」

 

「月子ー、ごはんできたよ〜」

「う〜ん、後5分〜」

「もう、しょうがないなぁ」

「むぐぅっ!……ん、んん……ぷはぁっ。ちょっと陽子朝っぱらからいきなり何すんのよ」

 陽子に突然唇を奪われ、月子は一気に目が覚めた。

「もう昼過ぎだよ。……だって、何回起こしても月子が起きないんだもん。だからお姫様のお目覚めには王子様のキスが必要なのかな、と。お気に召しませんでしたか、姫」

「……そんなことはないけど……それより、私いつの間に寝ちゃったんだろう……って、私、は、裸ぁっ?!」

「うん。あの後タオルで汗は拭いたんだけど、さすがに服を着せるのは難しくってね」

「あ、そうだったんだ。ありがとう、陽子」

「でね、裸だと寒いだろうから月子が風邪を引かないように添い寝してあげてたの。あ、そうそう、私はまだ足りなかったから、お股は舐めて綺麗にしてあげたから。ほんと月子って敏感だよねぇ、寝てても体はぴくんぴくんて反応するんだよぉ……どうしたの、そんな怖い顔して」

「一瞬でも陽子に感謝した私が馬鹿だった。……今晩は食事抜きね」

 指をパキパキ鳴らしながら陽子をにらみつける月子。そのあまりの迫力に陽子は何も言えなかった。

 すすすと月子の背後に回り、肩を揉んで何とか機嫌を取ろうとしたが、それすらも「触らないで」と冷たく拒絶された。

(こうなりゃ奥の手だ)

「月子ぉ、ごめんね。あんな事されたら誰だって怒るよね。嫌われて当然だよね。あまりに月子が可愛くって、つい……なんて、ごめんで済んだら警察なんて要らないよね。……月子に嫌われたら私ここには居られないね。短い間だったけど、月子に会えて楽しかったよ。それじゃ」

 涙目で相手を見つめ、すがる様な視線を送り、最後はがくんとうなだれて同情を誘う。怒った月子をなだめる陽子の必殺技だ。

「もう、そこまで思いつめなくてもいいわよ。大体、ここを出て何処に行くつもりよ。これ以上私に心配かけさせる気なの」

「……許してくれるの」

(作戦成功。相変わらず泣き落としに弱いよねー、そこがまた可愛いんだけど)

 今回も必殺技の効果は絶大と、陽子はほくそ笑んだ。

「ええ。ただし今度やったら晩御飯抜きじゃ済まないからね」

「うん、分かった……って、ということは……」

「今日の晩御飯は抜きよ。あぁそうだ、勝手に食べ物を漁らない様に、今日一日はずっと猫の姿で過ごしてもらいますから」

「えー、そんなぁ」

「返事は?」

「……はい(ったくもう、月子のけちんぼー、いじわるー、自分だって気持ちよかったくせに)」

「何か言った」

「いえ、何でもありません。んしょ、っと。……にゃー」

 月子に三白眼で睨まれ、陽子は慌てて猫の姿になった。

 月子に言われた通り陽子は翌朝まで猫の姿で過ごした。晩御飯も月子の陽子への愛により無事に食べる事が出来(正確にはにゃーにゃー鳴き続ける陽子に月子が根負けしただけなのだが)、お腹いっぱいになって満足して眠りについた。

 ソファーの上で寝ていたはずが、朝目を覚ますと月子のベッドの上で一緒に寝ていた。寝惚けてベッドに潜り込んだのかと思い、怒られる前に避難しようとした時、目を覚ました月子と目が合いそのまま抱きしめられた。どうやら月子の機嫌は元に戻ったらしい。

 こうして陽子が現れて2回目の朝が明けた。

 
 
 
next   back   目次へ
動画 アダルト動画 ライブチャット